新たな一射へ

下り坂62 人生を折り返したと自覚したのはいつことやら...

白いフレームから始まった

一目惚れだったと思うCommencal
白いフレームに惹かれた理由なんて
それで十分だった

ペダルは 一気には回らない

どれだけ急いでも

どれだけ力を込めても

前に進むためには

ただ一回転ずつ踏み込むしかない

その単純さが

妙に心地いい

風を切る音と

チェーンの微かな響き

考えごとをしているようで

何も考えていない時間

気がつけば余計な力が抜けている

 

――それは どこか似ている

まだ撃っていない一射を 大切にする感覚と

きっかけは特別なものじゃなかった

単純に運動不足だった

最初に始めたのはランニング
とりあえず走る それだけ

もともと運動が好きなわけじゃない
だから自分を追い込むような走り方はしていない

それでも不思議なもので
日々繰り返していると少しずつ変化が見えてくる

距離が伸びる
息が続くようになる
体がついてくる

40歳を過ぎて初めて感じた感覚だった

「ちゃんと積み上がるんだな」と思えた

でも長くは続かなかった

体よりも気持ちが先に行き過ぎたのかもしれない
年齢のせいもあるだろう

膝を痛めてしまった

無理をしたつもりはなかったけれど
結果として 止まるしかなくなった

その頃から自転車のことが
頭のどこかに入り込んできていたと思う

とはいっても 大した理由じゃない

通勤に使えるかもしれない
それくらいのものだった

当然知識もない
何がいいのかもわからない

ただ なんとなく

横浜のスポーツバイク店を探して見に行った

そこで目に入ったのが
白いマウンテンバイクだった

一目惚れだったと思う

メーカーは Commencal

フランスとどこかの国の境にある小さな国のメーカーだ

正直 詳しいことは何も知らなかった
ただ 見た目がよかった

それだけで十分だった

店員さんはロードバイクを勧めてくる
でも そのときの自分には
その白いMTBしか見えていなかった

ロードバイクなんて
頭の隅にも入っていなかった

その時は・・・



一漕ぎずついこう