タイヤの幅は、地面との摩擦抵抗が大きい。
重さは、そのまま仕事量を増やす。
自宅から職場までは距離こそ近いが、
横浜特有の坂がいくつもある。
MTBのタイヤは、
山道のような滑りやすい路面に特化した形状だし、フロントサスペンションも荒れた路面からの衝撃を吸収するためのもの。
要するに、
どちらも舗装路を走るうえでは“重石”になる。
自分も含めて、だけど。
平地でも、速度に応じてエネルギーは必要になる。
そこに路面との摩擦が加われば、その分だけ負担は増す。
上り坂ではさらに顕著で、
傾斜と自重に応じて必要なエネルギーは一気に増大する。
タイヤの摩擦や、自転車そのものの重さが、
これほどまでに影響するとは思っていなかった。
あのとき、店員がロードバイクを勧めた理由が、
今になってようやく理解できた。
しばらくは、そのままMTBで通勤していた。
きつい坂を登れば、身体はそれに耐えようとする。
繰り返すうちに、少しずつ楽になる。
自分の能力が上がっていることが、確かに実感できた。
ただ――
この頃から、少しずつ違和感が出てくる。
通勤のためだけに、
いつも同じ景色の中を往復する日々。
気づけば、どこかで飽きを感じ始めていた。
欲が、生まれる。
一漕ぎずついこう